これからの医療「未病医療と先制医療」〜集団から個へ〜

講演会リポート第二弾は国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授、山王メディカルセンター女性医療センター長で今回の学術集会長でもある太田博明先生のお話。

2025年には

男女の健康寿命が世界一の日本は団塊世代が2025年に後期高齢者に達します。

高齢者数は現在より300万人増え、しかも後期高齢者が高齢者の60%を占めるようになります。

介護や福祉分野の需要はますます増え、医療や介護サービスの体制の見直しが求められるようになるでしょう。

高齢者の健康をどのように保っていくのかが世界的にも注目されています。

女性の健康格差

日本女性の平均寿命は今や約87歳となり、健康寿命との差は約13年と言われています。男性がその差が9年なのに対し4年も多く、また個人差もあります。

高齢の女性に多い症状は肩こり、腰痛、手足関節の痛み、だるさ、頭痛の順であり、上位3つはその数が多く、女性にとって運動器にがいかに重要かということがわかります。

女性における要介護・要支援の原因の29.4%は関節疾患、骨折・転倒、続いて認知症となり、女性はロコモーティブシンドロームに注意が必要です。

ちなみに男性はメタボリックシンドロームに注意です。

1000歩多く歩こう

後期高齢者が一層増加する今後、集団から個人への対応が求められ、いわゆる先制医療が必要となります。

健康維持、未病=病気ではないが健康でもない状態のセルフケアを個々が考える必要があります。

高血圧、肥満、耐糖能異常、骨粗鬆症などは未病対象といえ、個々があと1000歩多く歩くことでも改善していくものです。

集団に対する予防医療から未病領域への対応として個人に対する先制医療が必至となっていくでしょう。