香りと脳

11月3日は「アロマの日」心地よい香りを嗅ぐと気持ちが落ち着く人もいるはずです。

アロマテラピー のように香りで治療する事もあります。脳はどのように香りを感知するのでしょうか。

五感は全て脳でコントロールされるが

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感は脳でコントロールされています。

嗅覚以外の4つの感覚は大脳新皮質と呼ばれる脳の中で比較的新しい部位で感知されます。

動物が高等になるほど新皮質の占める割合は大きくなり、ヒトでは大脳の約90%を占め、この大脳新皮質で識別されたものがその奥の大脳辺縁系で認識されるという2段階を踏んでいます。

「これは花」と視覚が識別してから「きれいな花」と情緒的判断が行われるわけです。

嗅覚だけは

大脳辺縁系はどの動物でもほぼ共通、脳の最も古い部位で情動やホルモン分泌などを司る部分です。

嗅覚は人間の五感のうちでも最も原始的・本能的な感覚であり、嗅覚情報だけがダイレクトに大脳辺縁系に入って行き、香りを嗅いだ瞬間に「いい香り」「嫌な臭い」とすぐさま感情に結びつけることが出来るのです。

香気成分(アロマ)は嗅覚を刺激し視床下部ー下垂体ー卵巣・副腎皮質系を活性化させホルモンを分泌させる事でリラックスなどの効果がある事がわかっています。

大脳辺縁系は人間の記憶と感情に加え、自律神経やホルモン、免疫の調節も司っています。

そのため直接大脳辺縁系に到達する「香り」は理性・知性などを司る大脳新皮質に邪魔されず、自律神経のバランス調節が早く行われると考えられます。

アロマの効果

更年期障害の症状緩和にはおおよそ10種類の精油が用いられますが、その中でも「ゼラニウム精油」「ローマン・カモミール精油」「オーズオットー精油」が唾液中のエストロゲン濃度を増加させるという結果が得られています。

またテストステロンは疲労感に効果があり、集中力も高めるホルモンで、最近では女性にとっても重要なホルモンと考えられています。

テストステロン濃度を増加させた精油は「ジャスミン精油」「ローマン・カモミール精油」「クラリセージ精油」など。

アロマを嗅いでなんとなくリラックス…も良いですが、ダイレクトにエストロゲン、テストステロン濃度をあげる香りを嗅いでみるのも症状緩和には効率よく手っ取り早くて良いかもしれません。

コーヒーの香りは人を優しくさせる

アメリカのレンセラー工科大学のバロン博士の行った実験では、コーヒーの香りを嗅ぐと、他人に親切になるという事が実証されました。

強いリラックスを感じる時、人は相手に対して良い印象を抱き、さらにポジティブな感情を持ったまま「相手を助けたい」「優しくしたい」など言った気持ちになると言われています。

香りにはリラックス効果だけではなく、こんな心理状態も生み出す力を持っているようです。

男性が女性に花束をプレゼントする事は視覚の点からだけではなく、嗅覚の点からもベストなアップローチと言えそうですね。