リラックス状態を測定出来る

昨年の7月に行われた更年期と加齢のヘルスケア学会サマーセミナーでの講演より。

産業医科大学医学部薬理学 柳原延章教授の「更年期障害と自律神経バランス」のお話をわかりやすく掻い摘んでお伝えします。

自律神経とは

自律神経とは気温の変化や精神的ストレスなどの外的刺激に対して体の機能や状態を一定に保とうとする働きをするもので、自分ではコントロールできません。
自律神経は交感神経と副交感神経の二つからなり、わかりやすく言うならば車のアクセル・興奮状態が交感神経、ブレーキ・休息が副交感神経です。
一つの臓器にはこの二つが必ずあり、相反する仕事をしバランスを調節しながら外界からの刺激に対応し身体の恒常性を支持しています。
面白いことに交感神経は敵と対峙した時戦うか逃げるかの準備をするものです。
瞬時の判断が必要なこの時、血流量は安静時に比べ10倍量流れます。運動時も同様です。

このように交感神経は心拍数を高め、血流量を多くするわけです。

自律神経のバランス

普段は目立たない自律神経ですが、その活動は精神や心理と深く結びついています。

適度な運動は身体に良いとされてますが、強い緊張や強いストレスを受け交感神経の過度の緊張が続くと血圧の上昇、動脈硬化・血栓形成の上昇、免疫系の低下、消化性疾患や心筋梗塞を引き起こします。
女性の更年期障害患者さんの多くはホットフラッシュ、立ちくらみ、めまい、ほてり、精神的うつ症状を含む自律神経障害を示しています。
心拍数の変動を見て自律神経のバランスを測定することで、更年期障害の診断や治療経過判定の補助手段として使えるのではないかというのがレーダーチャート式バランス評価法というものです。

ストレス状態をチェックする手段

柳原先生は東芝製のSilmeeを用いて薬局やクリニックでの健常者や更年期障害患者の自律神経バランスの測定が可能であることを示しました。さらに、1人で測定出来るセルフメディケーション用の自動測定用ソフトを開発しました。

自律神経は自分でコントロールできないとは言われるものの、この測定器を使用することでどんな状態が自分にとってストレスなのか、リラクセーションの状態は何をしている時なのかを自分自身が知ることで、自ら心がけて副交感神経優位状態に持っていくことは可能かもしれないということです。

 

現代人のストレス緩和や更年期症状の緩和に役立つようになれば良いですね。