更年期の基準って?

「私って更年期なんだってどのようにわかるんですか?」

先日のワコール札幌店さんで「自分で更年期だと気付かない40代の方が多い」とお話した際に出た質問です。

更年期の基準って?

更年期とは女性が加齢により生殖期から非生殖期へと移行する時期を言い、閉経を挟んだ前後5年の計10年間と言われています。

閉経してしまえば自分は更年期に入ったと認識でき体調の悪さもホルモンが原因と納得出来ますが、不調は閉経前から出現している事がほとんどです。

閉経年齢はおおよそ50歳。前後5年なら45歳位から更年期ということでしょうか?

閉経にはしっかりとした診断基準があります。この時期の女性で12ヶ月以上無月経が続く場合は閉経と確定します。

ところが無月経12カ月未満の女性や子宮摘出を行っている女性の場合でも「FSH値40mIU/mL以上かつエストラジオール(E2)値20pg/mL以下」をもって閉経と判定してもよいとされています。

と言うことは月経があっても、50歳に満たなくても、閉経になっている場合もある。

「更年期」と言う時期の始まりはその人によって異なるもの、と言うことになりますね。

FSH、E2って?

閉経の判断基準FHS、エストラジオール(E2)とは?

エストラジオールはよく聞くエストロゲンの一つで、女性ホルモン中もっとも作用が強いものです。

エストラジオールを含むエストロゲンは卵巣で作られますが、その分泌を指令しているのは脳の「視床下部」と言う所です。

生殖期の女性のエストロゲンの分泌が少なくなれば視床下部が命令を出し「下垂体」部分から卵胞刺激ホルモン(FSH)を出して卵巣内の卵胞に働きエスロトロゲンが出る仕組みです。

エストラジオール、FSHの値は1ヶ月間(卵胞期・排卵期・黄体期)一定ではなく、エストラジオールは約25〜400pg/mL、FSHは約1.5〜22mIU/mLくらいの間で大きく変動します。

閉経の基準が更年期治療の基準に

ところが非生殖期に移行中の女性は加齢のため指令を受けてもエストロゲンを作れない状態に!

視床下部はどんどん指令を出し続けFSHも大量に出てきます。

エストラジオール値は20pg/mL以下となりFSHが高値を示すのはこのためで、閉経基準のこれらの値が閉経前の女性の更年期治療の基準となっています。

ただし一ヶ月の間に大きく変動する二つの数値。

月経がある場合は時期をずらし数回の血液検査をしてみないと正確な判断は出来ません。

不調が続き「もしや更年期⁈」と思ったらまず婦人科で血液検査。数値に問題がなければそのままにせず他の病気を疑い専門外来へ行くことをお勧めします。

私の場合は不調は40歳前半から。ひどい頭痛や肩こり・腰痛、手の痛みに悩まされた49歳の時、月経は毎月あったにも関わらずE2はほぼ0、FSHは300と言う異常高値で即治療を希望しました。

HRT(ホルモン補充療法)を開始するとそれまでの不調がウソの様に消え、快適な生活を送れる様になりました。

不調(更年期症状)はストレスが引き起こす

女性の身体はとてもデリケートです。

ストレスによりFSHやE2の値が正常でも、病名のつかない「不定愁訴」を訴える人が増えてきたのはその為かもしれません。

また同じようにエストロゲンが減少していても介護や社会的立場、子供の巣立ちなど外的要因が多い人の方が更年期症状を訴えやすいとも言われています。

一概に女性ホルモンの低下だけが不調の原因と言えないようです。

ストレスを排除する事が一番の解決方法ですが、それが難しい場合はストレスから目を逸らす事が出来るものを見つけ、コントロールする必要もありそうです。

また、自分の最適ホルモン量は人それぞれのようで、更年期の女性で正常値と言われる値でも不調を感じる方もいるようです。

そのような方は更年期外来や更年期専門の婦人科でご相談すると、正常値でも治療を始められる事もあるようです。