10/7の日本更年期と加齢のヘルスケア学会学術集会より長崎大学大学院医歯薬学綜合研究所 教授 篠原 一之先生の演題からお届けします。
アロマの効果
ヒトの脳(大脳)は大脳辺縁系と大脳新皮質から出来ています。
動物が高等になるほど新皮質の占める割合は大きくなり、ヒトでは大脳の約90%を占めているのに対し、辺縁系はどの動物でもほぼ共通、脳の最も古い部位で情動やホルモン分泌などを司る部分です。
人の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のうち、嗅覚は人間の五感のうちでも最も原始的・本能的な感覚であり、人間の生存にストレートに結びついている大切な感覚です。
そのため他の4つの感覚情報が大脳新皮質で認識するのに対し、嗅覚情報だけがダイレクトに大脳辺縁系に入って行きます。
香気成分(アロマ)は嗅覚を刺激し視床下部ー下垂体ー卵巣・副腎皮質系を活性化させホルモンを分泌させる事でリラックスなどの効果がある事がわかっています。
更年期女性のエストロゲン濃度を増加させる成分
更年期障害の症状緩和にはおおよそ10種類の精油が用いられますが、その中でも
- ゼラニウム精油
- ローマン・カモミール精油
- オーズオットー精油
が唾液中のエストロゲン濃度を増加させました。
このことからこれらが更年期障害の症状を緩和する可能性があると考えられる様です。
更年期女性のテストステロン濃度を増加させる成分
テストステロンは以前熊本先生のお話にもあった様に(こちら)疲労感に効果があり、集中力も高めるホルモンです。
エストロゲンの研究同様10種類の精油のうちテストステロン濃度を増加させたものは
- ジャスミン精油
- ローマン・カモミール精油
- クラリセージ精油
などでした。
テストステロンは女性にとっても重要なホルモンで、やる気にも関係し敗者が再挑戦する際にはテストステロンが上昇するというデータが得られています。
なんとなくリラックスも良いですが、ダイレクトにエストロゲン、テストステロン濃度をあげてみるのも症状緩和には効率よく手っ取り早くて良いかもしれません。