更年期からの栄養・食事

10/27に開催された「日本更年期と加齢のヘルスケア学会 学術集会」ではオプティマルヘルスを目指すためにたくさんの講演が行われました。

今日は「食」に関する三講演から学んだ事をお伝えします。

更年期症状と栄養素との関連

更年期症状の不定愁訴の出現が早い人は血液中のビタミンE濃度が低く、ビタミンB1濃度が正常域を下回る傾向にある事がわかっている様です。

不定愁訴の出現が遅い人はエネルギーや蛋白質、乳製品の摂取が十分でバランスの良い食事を摂っており、逆にSMI(簡略更年期指数)が高い人は蛋白質、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、鉄の摂取量が少ない事も報告されている様です。

金城学院大学生活環境学部食環境栄養学科 丸山智美教授の研究でも同様の結果が得られています。

さらに更年期世代の女性はストレスにさらされると「甘いものを食べる」と回答する割合が高く、食事に関するアンバランスが見られる様です。

更年期世代のオプティマルヘルスにおいては、バランスのとれた栄養を摂る事が重要で有り必要であることを理解し、さらにその食生活を実践できる力を持つ事が必要となります。

更年期症状に有効なレシピ

更年期症状では「疲れ」「肩こり」「イライラ」が多く見られます。

(株)アドバンスト・メディカル・ケア 管理栄養士 三浦知代氏によると、更年期症状の緩和に最もよく知られるものとして大豆製品(イソフラボン:エクオール)、そして腸内細菌を整えるものとして乳製品や発酵食品などを摂取する事。

「疲れ」にはエネルギー産生を促すビタミンB1と鉄。鉄は酸素を全身に運ぶため鉄不足によって全身の疲労感を感じます。

「肩こり」には抗酸化作用のあるビタミンE、ビタミンB1はストレスや緊張からくる筋肉のこわばりを緩和します。

先ほどの丸山教授のお話に出て来た様に、ビタミンEとB1は大変重要な栄養素と言えます。

「イライラ」にはストレスを軽減するマグネシウム、神経の興奮を抑えるカルシウムが良い様です。

ビタミンEはアーモンドやかぼちゃに多く含まれ、カルシウムは干しエビで効率よく摂取できます。

大豆製品と発酵食品の組合せとしては納豆にキムチでダブル発酵。最近流行りの米麹甘酒も発酵食品を手軽に取れるものの一つです。

カロリーを気にする場合は副菜に油を使わない一品(酢物やおろし和えなど)を加える、主食には玄米や全粒粉を加えるなど工夫するなどが良いでしょう。

腸内細菌の餌になる食物繊維を摂る事も大事です。

更年期からの健康な食

「現代は栄養失調と過剰栄養が混在している」と話すのは椙山女学園食育推進センター 客員センター員 大木和子氏。

更年期からの身体を考えると、フレイル予防として適切な栄養摂取に加え定期的な有酸素運動でLDLコレステロールの低下と骨密度を維持する事が重要です。ロコモは更年期世代から始まります。

ロコモ予防の食事ポイントは乳製品や小魚、緑黄色野菜・海藻類、大豆製品。

カルシウムの吸収を助けるビタミンDはきのこ類や魚類に豊富で有り、同じく骨形成に重要なビタミンKは納豆や青菜類に多く含まれます。緑黄色野菜・果物に多いビタミンC、ほうれん草やレバー、うなぎに多い葉酸もロコモ予防に推奨の栄養素です。

骨破壊にはエクオール摂取が効果的で有り、サルコペニア予防には肉類を摂取しエネルギー不足を補う事、レジスタンス運動(筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行う運動)の一時間後に適切なアミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリンなど)を摂取する事が効果的です。

朝のコップ一杯の水は身体に良いと言いますが、歯周病は全身疾患の元となるため口をゆすいでから飲むことをお勧めします。

水分摂取は身体のために重要ですが海藻類やきのこ類からも摂取可能です、水分を気にする方は食事から摂りましょう。

身体のためには食事の組み合わせは重要です(シンバイオティクス →こちら)また、急激に血糖値を上げないために低GI値の食品を取り入れる、主食を最後に食べるなどの工夫も更年期からは必要となるようです。

 

やはりバランスのとれた食事が重要。

抗酸化作用のあるものやエネルギー回路を回すビタミン・ミネラルを摂取し、ロコモ予防に蛋白質。今までお伝えして来た事ばかりですね。