更年期からの骨盤底ケア

10/27に開催された「日本更年期と加齢のヘルスケア学会 学術集会」ではオプティマルヘルスを目指すためにたくさんの講演が行われました。

今日は東北大学大学院医学系研究科ウィメンズヘルス・周産期看護学 准教授 吉田美香子先生のお話「明るく取り組む骨盤底ケア」より。

骨盤底障害

骨盤底障害は機能障害部位により骨盤臓器脱(臓器が膣のほうから下垂し出てくる病気の総称)障害、結腸直腸ー肛門障害、下部尿路機能障害の3つに分けられます。

骨盤臓器脱は高齢者に多く見られますが、若い女性でも深刻なのが、出産後骨盤底筋が伸び尿道を締める事が難しくなり出現する「尿失禁」です。

日本では出産年齢の高齢化が進んでいますが、35歳以上の高齢初産は骨盤底を傷つけそのまま更年期へ突入し筋力の低下などによって骨盤底障害へと繋がる危険性があり、今後女性にとってますます重要な問題となって来ます。

促進因子

妊娠・分娩での骨盤底を損傷する事が骨盤底障害の引き金になる事があります。

また肥満による体重増加、慢性的便秘などによる骨盤底への負担などで徐々に骨盤底障害は出現、増悪します。

腹圧がかかる事も骨盤底へ負担をかけるため、強度の腹圧がかかる筋力トレーニングも促進因子です。

骨盤底ケア

骨盤底症状が出現してしまった場合、産後の若い女性にも見られる「腹圧性尿失禁」には「尿取りパット」、骨盤臓器脱にはぺっサリーや骨盤底サポート下着の着用などがあります。

しかし尿取りパットはあくまで対処です。根本対策としては骨盤支持機構の正常化が必要です。

骨盤底筋の筋力強化(骨盤底筋群トレーニング)や外科的手術が必要となります。

骨盤底筋群トレーニングは骨盤底筋群を独立させて意識的に動かせる様にするもので、腹圧を使用して締めるものではありません。誤った方法で行うと腹圧をかけ増悪させることになるためきちんと正しく行う事が重要です。

骨盤底を保護するために便秘の予防・改善、ウエストを締め付ける矯正下着の着用を避けるなどが挙げられます。

産後から骨盤底筋群のトレーニングを行うことでその後の5年10年の症状が改善します。

骨盤底ケアは症状が出現してから行うのではなく、産後・更年期〜それ以降を見越し早めに取り掛かり、症状を予防する生活習慣を自分自身で考える事も重要です。