10/6の日本更年期と加齢のヘルスケア学会学術集会の中から、東京女子医科大学看護学部 助教 田幡 純子先生のラウンドテーブルディスカッションよりお届けします。
良い睡眠とは
爽やかで活力に満ちて覚醒する事が良い睡眠と言われます。
何故良い睡眠が必要かというと人は寝ている間に疲労を回復しているからです。
そのため量や質が悪かったり、眠りたいのに眠れないと言った不眠により生活習慣病のリスクが高まったり、心の不調という不都合が出て来ます。
日中の眠気があると事故やヒューマンエラーが発生するという不都合も有ります。
睡眠時間は個人差が有り「ショートスリーパー」は短い時間で疲労を回復できます。
不都合がなければ時間は短くても良い睡眠は取れています。
眠りには「タイミング」が必要で朝の光や食事が夜の眠りを促す要因となります。
光が睡眠物質メラトニンを分泌させ、それは時間とともに減って行き起きた時から15〜16時間で眠くなるホルモンが分泌され「眠たりたい」という欲求となるのです。
したがってこのサイクルをうまく作ってやる事が良い睡眠に繋がります。
不眠の原因
不眠の原因としては
- 心因性
- 内分泌性(ホルモン)
- 精神疾患
- 血管性
- 夜間頻尿
- 薬剤
などが有ります。
女性の方が不眠を訴えやすいと言われていますが、生理の周期(ホルモンバランスの変化)で自覚しやすい、「眠れない」と言葉にする人が多い、(授乳などで)小刻みな覚醒に慣れているのが要因ではないかと言われています。
実は女性の眠りは短期集中型の人が多く、自覚はないが案外良く寝ているのが実際の様です。
更年期世代の眠り
女性ホルモンが減少するこの時期は自律神経失調症状が出現し寝汗やホットフラッシュが睡眠の障害要因になります。
またホルモンバランスが変動する時期はうつ病の好発年齢でもある為、心因性の不眠も出現の可能性もあります。
社会的環境変化やホルモンバランス変化をストレスと感じる事も多くなります。
この様な事から入眠困難、中途覚醒、睡眠分断、早期覚醒などが出現します。
さらに45〜60歳の女性の睡眠時間はどの世代よりも少なく、疲労回復が間に合っていないのも現状です。
加齢に伴う睡眠の変化は就寝起床が早くなる(前倒しになる)、日中に過眠傾向がある、も含まれ、区別がつきます。
どうすれば良いのか
実際はよく寝ていると言われても眠れてないんだから!とお思いでしょう。
申告(言う)人は2パターン。
機械で計測すると本当は眠れているが、ストレスや心因的な苦痛で「眠れない」と感じる人。
血管運動性症状(ホットフラッシュなど)で本当に眠れていない人。
まずは自分の不眠が体の不調(病気)なのか、心の不調なのか、ホルモンかを見極める事が大切です。
ご自身では見極められないので専門家に判断してもらうのが良いでしょう。
自分でできる事は睡眠衛生を整える事。
- 規則的な睡眠スケジュールを保つ
- 嗜好品、薬物に注意
- 食事・運動などの生活習慣の見直し
- 寝室の環境を整える
- リラックスする
- 昼寝を控える
それでも眠れない時は…
どうしても眠れないなら、何時に寝なきゃ…と決めず眠くなった時に寝る。
早く起きてしまったらある程度明るくなるまでふとんの中でジッとしていても疲労は回復します。
昼食後眠くなるのは自然なこと。「寝落ち」くらいならOK。
ただし昼寝をし過ぎることが多ければ夜は眠れません。何かをして少し抑える工夫は必要です。
眠れないと「眠らなきゃ…」とこだわってしまいますが執着せず、気にしないのも一つの方法。
ホルモンバランスが原因なら数ヶ月で改善したり、生活パターンが変われば眠れる事も有ります。